スケッチ旅Ⅱ

 2日目は苗名滝へ。なえなというのは「地震」を「なゐ」と読んでいたことに由来するそうです。地震のように轟く水音。
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 暑い山道と岩を乗り越えて滝に近づくとひんやりした空気が身体を通り抜けます。初日と打って変わって涼しい。滝壺付近の岩に腰を下ろし滝を初めて描きました。なんとなく俗っぽくて敬遠していましたが、自分の足でたどり着いた涼しい場所に安堵したのと岩に隠れ下流からは死角になって人が全く来ない静寂が気に入ったため自然と紙を広げていました。
 しばらく描いていて、こんな轟音の傍にいるのに静寂だと思っていたことに笑ってしまいました。滝の音は近づくとまったくうるさく感じないのですね。その風景の一部になっていくような心地よさ。昨日は炎天下の池で身体中熱され、今日は滝壺のミストで身体中冷えました。現地で絵を描くというのは環境の影響を全身でもろに受け止めるということですが、しんどさと引き換えに得るものは小さくはない気がします。
 
 スケッチは普段の制作発表と並行してこういう機会に時々やりますが、おそらく発表はしません。単純に普段の制作と直結して見えないために、展覧会での発表は他の作品の不純物になりそうということもありますが、ではなぜ発表しないものを手間暇かけて描くのかという理由を一言で言えば「描きたくなるから」なのです。
 普段は表現のためにテーマをある程度煮詰めて焦点を絞り発表しようとします。そうしてだんだんと追い込んでいった先に、不純に見えるものをあえて内に取り込んでしまう矛盾は、「自分」と「自分ではない」のバランスを取り、歪みを整えるためではないかと考えています。制作の歪みを制作で直す。真ん中にいようと志向する作り手の抵抗。
 そこに自己満足以上の可能性も含んでいることに気付くこともあるので結局は描いて良かったと思うこともあるのです。感覚器官が洗われるような不思議な行為だなと思います。
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左3点睡蓮の池、右2点滝

 お土産は自分で描いた絵とクスサンの繭の抜け殻3つ。それぞれに表情があって興味深いです。
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