夏の展覧会と制作

IMG_1345.JPG  夏のガラス絵展は大分のみさき画廊。会期は長く、今月25日までやっています。ガラス絵と言っても作家ごとに表現は異なります。技法を限定することでテーマが浮き彫りになりやすいとも言えます。  連日暑く、リトルクリスマス版画展の制作も佳境。 IMG_1350.JPG  最近は銅版画からは少し距離があったのでエディション刷りをしながら感覚を取り戻しています。 IMG_1370.JPG  そして和紙にペン。静かに線を重ねていく。
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京都の個展の日々

 今回の虚京都の個展はオープン以外の時間が沢山あるので京都散策。
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 清水寺は改修中。足場が凄く良い。
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 以前行った投入堂を思い出しました。
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 飾り付けはこのような感じ。過去作の銅版画がとてもはまる場所で、こういう機会、巡り合わせはありがたいです。今までの様々な展覧会とは明らかに異なる雰囲気です。
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ザ・美術骨董ショー2019終了

 「ザ・美術骨董ショー」終了しました。  百貨店や画廊とは異なるお客さんが沢山いらっしゃって毎年楽しい。  普段ペルシャ絨毯を扱っている専門家が和紙に刷られた小さな銅版画を持ち帰っていく縁の面白さ。  先月初披露した他作家とのコラボドローイングも新たな額装で飾りつけ。足を止めるお客さんが多く好評でした。
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 自分も唐津と備前を持ち帰り。唐津はおなじみ藤ノ木土平さん。備前は伊勢崎紳さん。裏の印からおそらくは昨年銅版画と交換して入手した徳利の作者と同じだと思います。  食べる中身より器が立派になってしまいそう。
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飾り付け完了。

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 展覧会始まります。  話していると、制作や作品のことで他の2名の作家とも通じる部分があって面白い組み合わせです。  ミチヨさんは齋藤と同じく針を用いて黒に白を刻んでいく作品、スクラッチ。長谷川さんは黒に白を作りますが針ではなく銅版を滑らかにしていく、メゾチント。そして齋藤は白に黒を針や銅版で描いていきます。

漆黒のアート

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 4月17日(水)~23日(火)、伊勢丹府中では初めての展覧会をします。「黒」をテーマにした3人の作家の展覧会です。  ミチヨさんはスクラッチ、長谷川さんはメゾチント、自分はペンや銅版画を中心に飾ります。  油彩からデッサンやドローイング的なもの、銅版画などの方に惹かれていった自分にとってはモノトーンは今の作品の軸足でもあります。近くの神社には「くらやみ祭り」なるものがあるとのことで、この場所にぴったりですね。  府中か府中本町から歩いてすぐです。火曜、木曜以外在廊予定です。 https://isetan.mistore.jp/store/fuchu/index.html;jsessionid…

「リフレクション」オープニング

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 「リフレクション」に在廊し、オープニングを迎えました。アートギャラリーミューズは秋から年末にかけての「リトルクリスマス~小さな版画展~」で毎年お世話になっています。  箕輪さんの学生時代からのミューズ秘蔵の大作銅版画で盛り上がっていると、徐々にお客さんが集まり駐車場は満車。  ここでは初めて発表するガラス絵や、作家側も試み自体が初のコラボのドローイングなどに興味を持っていただきほとんど終始その話をしていました。それらと共に馴染みの銅版画や、菅野さんの絵本など各作家の作品にご予約が決まり、良いスタートになりました。 新たな試みも含め面白がってくれる度量があるお客さんたちはありがたいです。 https://www.agmuse.co.jp

リフレクション

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 前橋、アートギャラリーミューズで展覧会をします。リトルクリスマス以外では個展以来なので3年ぶりです。  「リフレクション」という言葉には、反射、反響、熟考、内省といった意味があります。  左右反転する銅版画や、裏側から絵を描くことで前後も反転するガラス絵を普段から制作する4人の作家による展覧会です。  今回はそれらを中心にした作品群に加え、それぞれが別の作家の銅版画に手を加え(上描きし)、この展覧会の為のコラボレーションとして作った1点もの作品も出品します。  このコラボレーションは、銅版画作家の制作過程からの発想です。銅版画は、完成の本刷りに入る前の段階で、多数の試刷りが生じます。それは色や描写、構図などのイメージを確認する為のものです。その試刷りの紙にメモしたり、試し描きしつつ製版を進め完成に向かいます。そこに他者のイメージが加わった時にどのように作品が方向転換し、違った道へと展開していくのか。本人が制作した元の版画と、他の作家によるイメージの展開をしたドローイングを並べて飾る予定ですので、1人が独断で制作していくものとは一味異なる趣として楽しんでいただけたらと思っています。  4月7日(日)の17時からはオープニングレセプションも開催されます。当日は私も含めた3人の作家が来廊し、自作や展覧会についての詳しい解説なども出来ますのでお気軽にお越しください。 https://www.agmuse.co.jp

扇子の虎制作裏話・第5話

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 インクが乾いたら扇子に貼り込みます。このままも綺麗ですが、直接手で触れることを想定すると、保護したいところです。そこで柿渋登場。
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 柿渋は1回塗りでは紙に染み込んでしまってあまり効果がないので、乾かしては何度か塗り重ねます。だいたい3回目くらいから艶が出始めます。7回ぐらい重ねると絵が見えなくなってきます。紙と絵と柿渋の状態、塗り方の加減で雰囲気が変化するので、塗りながら考えます。今回は畳むものなので、あまり厚みも出さないようにするため3回に留めました。この柿渋は経年変化で紫外線によって更に濃く、艶も増します。それがお楽しみでもあります。
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 サインと落款。サインが花押のようだと指摘されました。花押というものは寡聞にして知らず、自然とこういうサインになっていました。
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 表。
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 裏。こちら側は和紙をランダムにコラージュして1点ずつ違う模様になります。  完成。始めて取り組んだ企画物ですが、銅版画とコラージュと柿渋、という経験をまとめてなんとか満足いく形になって嬉しいです。  新年の企画は終了しましたが、引き続き阪神梅田の古忨堂に常設させていただいています。ご興味ある方はそちらへお問い合わせください。 http://www.kogando.jp

扇子の虎制作裏話・第4話

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 始めの試し刷り。大まかな絵の方向は決まりました。ここから直接削ったり彫ったりが始まります。
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 そして最終の試し刷り。違い分かりますか。
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 本刷りは極薄の漂白雁皮紙。インクを詰めた後、霧吹きで版に水を撒き、その上に和紙を密着させ、水を丁寧に抜きます。伝統的な雁皮刷りの場合はこの上に糊を塗って台紙に刷り同時に張り込みますが、今回は雁皮紙に刷ったものをコラージュして扇子を制作するのが目的なので糊は使わず、台紙と分離出きるようにしておきます。
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   刷り上がり。上々です。
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 吊り下げてインクを乾燥させます。

扇子の虎制作裏話・第3話

 今月15日で、阪神梅田での元旦扇子販売企画は終了しましたが、制作メモは続きます。
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 全て描き(掻き)終わり、腐食後、グランドを一度全て洗い落とします。
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 今度はグランドよりもどろっとしたマスキング専用の黒ニスで描いていきます。こうやって技法を明確に分けて進めることで、複数のタッチで描くことが出来ます。
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 直線はこのようにガムテープでマスキングすることもあります。腐食する場所と残す場所、その時間差を細かく計算しながら進めていきます。常に断面図を頭の中に描いています。
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 始めピカピカに磨いてあった版も腐食を終える頃にはこのようにザラザラになります。  ここまでで腐食による製版(エッチング)は終了。ここで一度試し刷りをして刷り上がりの様子を確認し、気に入らなければ更に直接版を削ったり彫ったりしていきます。まだまだここから。

扇子の虎制作裏話・第2話

 版下を描いて絵が決まった後、銅板の準備です。枠が決まらないと頭が動かないので、板ごとカットして、どんどん進めていこうという単純な発想です。
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 実は糸鋸がないことに気づき、ホームセンターへ走りました。今まで曲線をカットしてこなかったんですね。新しい1歩です。
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 この、扇型の状態にするのにとても苦労しました。1日で終わらなかった・・・。でもその分愛着が湧きます。  角を45度に落とし、滑らかにします。これをプレートマークと呼称します。版をプレス機で刷る際にあった方が良いものなのです。
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 朴炭で磨き上げます。
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   版下をカーボン紙でトレースしたもの。ここにグランドという耐酸性の油膜を塗布して、針で掻き落としていきます。
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 これがエッチングというものの中の、「ハードグランド」によるマスキングを利用した技法です。エッチングとはそもそもエッチ(酸)を用いたテクニックという意味なので、その粗密と腐食時間によって凹凸を作っていくもの全般を指します。従って、その酸によって腐食させるところと、させないところを作るという基本を抑えて おけばあらゆる工夫を無限にできます。 完成作品のご注文はこちら→http://www.kogando.jp/

銅版画の制作工程(下)

https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/10/19/%E9%8A%85%E7%89%88%E7%94%BB%E3%81%AE%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%B7%A5%E7%A8%8B%EF%BC%88%E4%B8%8B%EF%BC%89  これで舞台裏はおしまい。ここからは表舞台スタートです。  今回はヒマラヤ山麓の手漉き紙を使って仕上げました。新しく気に入った紙が、ちょうど良く作品にはまると嬉しい。こういう素材面での新鮮さというのは、作家本人にとって、フレッシュな感覚で制作を続ける上であるひとつのリズムを刻んでくれるようです。

銅版画の制作工程(中)

https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/10/12/%E9%8A%85%E7%89%88%E7%94%BB%E3%81%AE%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%B7%A5%E7%A8%8B%EF%BC%88%E4%B8%AD%EF%BC%89  銅版画の制作工程第2回目。全3回です。削ったり腐食したり。同時代を生きている作家はこういうのをリアルタイムで公開したり、それについてあれこれ反応があったりするのが、物故作家には絶対に出来ないことですね。

銅版画のTP(試し刷り)

 MVWのブログの方に、銀座三越の際に出品した銅版画、「横ぎる雉」の制作過程を解説付きで1枚ずつアップしています。今回はTP(試し刷り)3まで。描きすぎて真っ黒になってしまった版を削り、再スタートするまでの流れです。  予想通り簡単に、とはいかなかった分、愛着もある作品です。それは私の、銅版画との出会いから現在までの格闘とも通じるところがあります。不器用ですが、愛着あるところに着地したいと、いつも通りの足掻き。上手く予想通りいかない、という通常運転です。 https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/10/05/銅版画の制作工程上 上記、お手数ですが、工程上、という文字まで選択して検索してください。 もしくは、MVWのHPから、ブログ記事をクリック https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp

玄兎あそび

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 中秋の名月。  に合わせたわけではないですが、この作品は来月から年末にかけて全国で開催されるリトルクリスマス版画展にて実物をご覧いただけます。ご興味あれば、是非お近くの画廊でお求めください。  今年のテーマは「芽生え」。芽生えと、開花、種子を作り、また新たな土地へ・・・。植物のことでもあり、人の描くイメージにも共通のものがあると感じています。最近は古典のモチーフや絵画に自分の着想を織り交ぜた作品が作りたいと強く思うようになり、日々創意工夫です。    今までの記事を振り返り、タグを付けています。記事をクリック→例えば「リトルクリスマス版画展」をクリック。で、これまでのそれに関連する記事を一度にまとめてご覧いただけます。

銅版画制作工程

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 竹ペンで描画。
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 その後防食剤(グランド)を塗り、乾いた後水で洗い流すと、竹ペンで描いた部分の銅が露出し、腐食出来るようになります。グランドを浮かすので、リフトグランドエッチングと言います。
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 更に点描などを針で描き足してから腐食。何度か繰り返して出来た版がこちら。
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 インクを詰めた後、版の、向かって右面にだけ薄い和紙(雁皮紙)を張り込んでからプレス機を通します。(雁皮刷りという技法の部分的な利用)
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 刷り上がり。  完成作はまた後日。

自由自在な線

 ヨルク・シュマイサー展へ。  まだご存命だった頃に、お会いした記憶が蘇ります。温かな眼差しをした物静かな方でした。学生時代に展覧会を拝見したくて1人で夜行バスに飛び乗って0泊2日。勿論自作を背負って。早く着きすぎて画廊が開いていなかったので、伏見稲荷へ寄り、わくわくしつつ会場へ。  旅をして、その素描を制作の主軸に据える作者の豊かな好奇心が、時にストレートに、時に変化球で目の前に広がります。線そのものに高揚したり、癒されたり。高い技術に裏打ちされた繊細さ、豪放さ、行ったり来たりまさに自由自在。学生時代の拙作も丁寧に見てくれました。気に入った作品を1点入手。今より更にお金はありませんでしたが、刺激を忘れたくないという思いも加わって持ち帰りました。今見てもやはり後悔のない素晴らしい作品。自分、偉かった。  版画に興味ある方は当然、線描が好きな方に是非おすすめの展覧会です。
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   町田国際版画美術館http://hanga-museum.jp

埼玉で飲む

 「埼玉ゆかりの作家たち」展覧会初日は、まず柳沢画廊での作品を見た後、作家たちとコレクターさん、柳沢さんと、作品を飾っているうりんぼうへ向かいオープニングという名の飲み会。折しも雷を伴った大雨。齋藤はその土砂降りをもろに浴びて身体が冷えたので、埼玉の日本酒直実の熱燗。締めに卵かけごはんを注文した際に、ちらちらこちらを見ている人。なんとそのお米を作っている方でした。まずかったらお金はいらねぇよ、と勝手におっしゃってましたが美味しかった。そして花札シリーズをご覧になっていました。
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 帰宅したら埼玉の大雨ニュースになってました。聞いたことのない音色の雷を一度耳にしました。

埼玉ゆかりの作家たち

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 柳沢画廊企画で、「うりんぼう」との同時開催展をします。銅版画を出品します。うりんぼうは浦和にいく時に時々行く飲み屋で、元々柳沢画廊で個展をしていた際に、女将さんに見に来ていただいてからのお付き合いです。はきはきと、大抵お一人で切り盛りしています。店構えが独特、とても狭い出入り口から鍾乳洞へ入っていくかのような雰囲気ですが、座敷に到着するとほっと落ち着くような昔ながらの雰囲気のお店です。埼玉県の地酒にこだわっていて食材も埼玉のもの中心。  大勢で行く感じではありませんが、静かに日本酒かな、という夜には是非。

銅版画と植物の間で

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 最近ほっておいたクワズイモがふと見ると種をつけていました。花はよく見かけるけれど種まで見れらるのは珍しい。植物が身近にあると、お~毎日生きてるなぁと感じ、その成長に元気をもらいます。  アトリエではここ最近はずっと銅版画を数点制作しています。  構図は先に決めてあったので迷わず、版も順調に、そして刷りで長考・・・。未熟なので、なかなか全ての工程が淀みなく、とはいきませんね。  刷りに入って何十回と同じ所作を繰り返す間に、迷ったり飽きたりしない為に、自分が納得出来る版の作りと、刷り方の決定を迫られます。厳しさが、結果的には気持ちの余裕を生むことが多いので、新しい工夫や挑戦の為にも、目の前の版や刷り上がりの状態に妥協は厳禁。
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 障子に映る蔓植物の影に、熱くなった頭をなだめられ、また版に向かいます。

真夏に思うクリスマス

 リトルクリスマス版画展2018の作品を制作中です。今年のテーマは「芽生え」。去年までの作品を並べ、振り返ります。
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 第1回めからがっつり絡んでいるので、もう8年やり続けてきました。自分なりにあれこれと創意工夫し、前年度までにやってきたことの繰り返しにならないよう、何かしらの挑戦を毎年してきたつもりです。今年は銀座三越の個展で取り組んだテーマを延長し、銅版画にフィードバックしてみようと構想中です。  お楽しみに!

四角い竹籠

 骨董が好き、というわけではないのですが、古いものの中に強く惹かれるものが時折あります。そういうものをぶらぶら見るだけでもそれなりに楽しめるので時々骨董市へ。今回は町田天満宮がらくた骨董市。実はこの骨董市は毎月1日にやっていて、たまたま先々月に行ってみたらいい籠が安く手にはいったのでその追加が主目的。
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   この写真のお兄さんの、奥の籠。要は業者さんの運搬用の籠。誰も見向きもしないけど、これがいい。
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こういう風に額やパネルを整頓出来るのです。丸い籠だとこうはいかないです。隙間出来ちゃいますし。軽いし、柔軟性が高く、丈夫。そして見た目も良い。つい4つも入手してしまいました。
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個展に向けて銅版画も。蜘蛛の巣が破れ障子に・・・。

SNSのメモ

 再来月に銀座三越にて個展が決まったので、それに向けた制作を進めています。  相変わらずの制作の日々で、つい書き忘れてしまうこのブログですが、もう少しやっていこうと思います。作品を楽しんでくれる方に、こんな感じで作品が生まれていますという報告と、自分のやっていることをちょっと離れたところから整理してみるという理由(アトリエに一人だと、制作のリアクションをくれる相手が展覧会までずーーっといないのです)で、SNSも少しずつやっていこうかな、という気持ちです。  そんなわけでひとまずTwitterも始めました。ここを読んでいる数少ない方で、Twitterをやっている方は勝手にフォロー歓迎です。作品画像や、マニアックな舞台裏、日々のことなど気楽にアップしていく予定です。 https://twitter.com/SaitoYukiHone  さて、今年からずっとペンで絵を描いていました。雁皮にペン。少しずつ工夫しつつ継続中。 襖、蔓植物、雉、など。
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 銅版画も、その隙間にやってます。
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underwater

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 青梅の蔵をリノベーションしたレストラン「繭蔵(まゆぐら)」  2階の広い空間で展覧会をします。  underwaterと題し、3名の作家がそれぞれの捉え方で飾りつけます。    栗原ありさんは、ダイビング体験を活かして水中の生きもののユーモラスな表情を陶芸で鮮やかに焼き上げます。  水中から引き剥がされた地層のような空想建築を樹脂陶土で作る山口茉莉さんの作品は、時間を旅するかのようです。  齋藤悠紀は、漂着物を中心に、銅版画やガラス絵で水中と浜辺のように二つの世界の行き来をテーマとした作品を出品します。小品も多いので、3人で100点近く並びます。  10/20(金)~/29(日)11時~17時。    メカジキを原寸大で描いた大作銅版画の「舵木通し」をはじめ、漂着物を描いた過去作銅版画、ガラス絵。コラージュとテンペラは新作を中心に出品します。また、今回は、漂着物の中でも特に骨をモチーフにした陶芸作品も出品します。  齋藤は、火曜と土曜以外在廊予定です。1階のレストランをご利用いただかなくても展覧会だけをご覧になれます。  会期中はいずれかの作家は在廊しますので、是非お越しいただき、静かな空間で水中散歩を楽しんでいただけたらと思います。    同じ会期中に、リトルクリスマス版画展をここでもご覧いただけます。

1人で大人と子供

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 伊勢丹浦和美術画廊の4人展「風は西から」終了しました。地元の展覧会。地元のメディアに取り上げてもらったり、知り合いがお子さん連れで来てくれました。子供が多いということが前回よりも記憶に残りました。よく動き回るようになったからか。彼らの成長に合わせてワークショップが出来たら面白いかもなぁとふと思いました。  後日のこと、作品を購入していただいた、近所の小学校時代の同級生のご母堂のお宅に作品を届けにお邪魔した際、彼の小学生の頃の絵や立体作品が飾ってあったので話題になりました。  例え将来美術の仕事に就かなかったとしても、自分の子供の中にこういう部分があるというのが大切なのだと思うと語ってくださったのが妙に心を打ちました。人間は色々なモノに触れて時間をかけて出来上がっていく中で、時折決定的な何かがあるのだと思っていますが、幼少期に絵を描いていた、モノを作ってみたというのは、そういうことが一切なかったというよりもかなりいいのだ、という説明できない確信をスケッチブックをめくりながら感じていました。こうやって何十年も経って見返して、誰あろう「その子」の唯一の作品を本人や周りの人間が楽しめる、というのもカタチが残る美術ならでは。  展覧会で作った寄せ描きの銅版画体験。版を腐食して作りました。
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 この版を見て、高校時代からの付き合いの来場者の友人が、最近子供の絵を楽しめるようになったと言っていました。大人になったり、絵に慣れていると、引く線が作為的になっていく。その中でふと子供の線を見ると作為が感じにくい、あるいは能力的に出来ていない部分がある種の良さに繋がっているというような感想をくれました。  ピカソはそれに憧れて、周りのオトナたちの反対も押し切ってそこに飛び込んだのではないかという予想が最近強くなりました。それが勇気がいることも今は少しだけ分かります。  関わり合いが大人になるにつれて「利害」が強くなっていくけれど、絵をただ見るその瞬間はそういうものと関係がないという気がするという彼のつぶやきが、表現活動の本質のところを突いているのかもしれません。  ストレスを感じれば感じるほど、それと切り離された、誰かが夢中で作ったモノに惹かれる気持ちも強くなるのでしょうか。  子供は大人になります。次回の展覧会では、彼らに負けずに、自分も作家として成長したところを見せたいです。
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野をしたむ

 横浜では初めての個展です。非常勤講師を辞してから1年。不安もありましたが、まったく縁がなかった場所で展覧会を企画していただけるようになりました。  今回の個展「野をしたむ」では銅版画を中心に、ガラス絵、コラージュを、新作を含め50点以上出品予定です。  東急田園都市線の駅名をきっかけにした連作も出品します。あざみ野、鷺沼、つくし野など自然豊かなイメージを抱かせる名称が多いのは、それらを愛する人々に支えられてきたということだと思います。自然に対し感じたイメージを目で呑み込み、手を通して絵の中にしたたらせるような個展が出来ないかと「したむ」という展覧会タイトルを付けました。  全日在廊します。よろしくお願いします。  齋藤 悠紀 個展「野をしたむ」 6/1(木)~/7(水)<最終日17時終了> 東急百貨店たまプラーザ店4階アートサロン 〒225-0002 横浜市青葉区美しが丘1-7 TEL.045-903-2211 れありあ というサイトで紹介してもらいました。 https://rarea.events/event/7697

オクルス

 庭で見かけた蜘蛛の巣を観察していて、作品を作ろうと去年末辺りから描き始めました。向こう側にある空が透けて見える、そのこちらとあちらの間に張られているということに興味が絞られてきました。
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向こう側にあるものが空から射す光ならば、それは「天窓」になります。ローマのパンテオンのドーム頂上部の、円形の開口部をオクルス(眼窓、円形窓)と言うのですが、それがイメージの下敷きになっています。考古学ではオクルスは西ヨーロッパ先史時代の芸術に見られ、一対の円形または螺旋形で、土器や巨石などによく見られます。それと巣に留まっている女郎蜘蛛の形態や、その構造との類似性には興味を惹かれます。  ヨーロッパでは神や女神の眼差しとして表されていると解釈されているそうです。中国では蜘蛛が喜従天降と言って天から吉事が舞い込む前兆と言われていることや、芥川龍之介のおなじみの「蜘蛛の糸」の中でも天国と地獄をつなぐ細いロープとしての役割があることなど、古今東西で共通する意味合いがあることと自分が気になった部分がリンクしました。  そういう象徴的なエピソードと実際の自然観察が現在の作品に繋がっています。  写真はビュランで直接銅版を彫った線と削りかす。
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リトルクリスマスの小さくはない思い

 昨年のリトルクリスマス版画展の返却作品の、全国の作家への梱包&発送と今年の企画の話し合いをしました。  全国のお客さんの反応、飾り付け、連絡の話などをお互いに交換反省。そこで出た何気ない話題から会話が膨らんで、またそこから話し合い。作業も大事ですが、そういうことこそが、集まってコーヒーを囲んでいると直接出来るのがいいところ。そういうのは大学時代からあまり変わらない。渦中にいる瞬間よりも、少し突き放して考えることが出来ます。遠慮のないことを言っても受け止めてくれる先輩作家の懐の深さに甘えてついつい喋り過ぎ外は真っ暗。そういう場自体がありがたい。  形式的ではないそんな会話を欠かさずに7年間やってきていることもただのグループ展にとどまらない結果にも繋がっているのだと思います。あまり知られていませんが、リトルクリスマス版画展は飽くまで「作家発信」なので、誰かにやらされているわけではありません。作品を画廊にお送りした瞬間から様々な方に支えられ成り立つ、毎年一から始める企画なのです。それは上下関係が構築され組織化されていくものではなく、単発のお祭り的なイベントでもなく、目的が不明瞭の惰性で続けているグループ展でもありません。  「版画」というものの特性、各地で多くの方の手に渡る複数あるクオリティの高いオリジナル作品、それをなくしたくない、その魅力を分かち合いたい。作家、画廊、お客さんなど関わる人間のそれぞれの思いを分断せず、小さく仲間内でまとまらず、「版画」によって繋がる色々な方の関わりを大切に未来に繋げたいという願いから続けている展覧会なのです。版画はその軽さと薄さと複数性ゆえに、人と人とを繋げやすいアートなです。クリスマスは元々は冬至の太陽の復活を祝うもの。  毎年売り上げも更新し、今年は1300点以上がお客さんの手に渡って行きました。  各会場を回ってそれぞれの画廊での体験を楽しむ方、自身のブログ、SNSで紹介する方、始まる前から予約を入れてくれる方、何点もまとめて購入してくれる方・・・全国のお客さんが確実に増え、それぞれの楽しみ方の個性さえ感じるようになってとても興味深く、ありがたいです。昨年は本当にお世話になりました、そして今年はどんな作品が出てくるか、お楽しみに!
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宇宙標本補足

 前回に引き続きSpaceSpecimensの刷り上がりなど。
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 これは途中段階の試し刷り。  そして
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 これがエディションとして決定し60部刷りあげたものです。セピア調。かなり密度が高くなっていますね。    来場者の方々にグランドを剥がすという制作の一部に関わっていただき、自分はその痕跡の深さ等を腐食で決め、刷りで紙の上に完成させるという試行でしたが、途中でこれは共同制作の版なんだと気づきました。浮世絵などは絵師、彫師、刷師が完全分業だったわけで、スペシャリスト達の共同制作とも言えますね。気に入らない仕上がりだったりすると頑固一徹な職人は喧嘩になりそう・・・お互いの思惑が錯綜していただろうなあと想像すると面白いですね。制作工程がはっきり分かれている版画ならではです。  自分はというと、イメージに介入出来ずにする痕跡の腐食行為は、他人が憑依した自分の筆で絵を描くような心地でした。  引っ掻いてもらいつつ頃合を見て画廊から持ち帰り腐食、またグランドをひいて来場してくれた方々に引っ掻いてもらう。息継ぎするようにたまに刷る。まるで沢山の方々の思いと1枚の薄い銅の板を間に置いて交わるよう。  売りもしない誰が欲しがるかもわからない、自分が描いたイメージでもない版のエディションを刷ることはそう何度もやらないとは思いますが、今回それにのってくださった方々には感謝していますし、むしろ自分にとっていい体験になりました。次回以降の展覧会で、自分の痕跡を見て持ち帰ってください!  おまけ(自分用の遊び刷り)
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   濃紺雁皮にホワイト。
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 同じくゴールド。

宇宙標本の刷り方

 今週は積雪と体験銅版「SpaceSpecimens」のエディション刷り。その合間に細々したことに追われているうちに終わっていきましたがなんとか60枚プラスT.P(試し刷り)数枚を刷り終えました。    こんな手順で刷っています。  インクをゴムベラで一度銅版全面に乗せます。凹部に詰めるイメージ。
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 それを寒冷紗という荒目の布と、電話帳などのつるつるした薄い紙で拭きます。凸部のインクだけ拭き取るイメージ。
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 凹部のインクのみになるまで拭けばこのままでも刷れる状態にはなります。そこに雁皮紙という極薄の和紙を置き、不易糊を刷毛で塗ります。
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 そこまでで準備万端。プレス機に通します。
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 するとこのように雁皮紙とインクが一緒に洋紙に刷り取られるという流れです。
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 洋紙は湿しているので重しをし、水気を切る紙を毎日替えながら徐々に乾くのを待ちます。