雪積
自分が雪を滅多に見ることのない関東人であることを感じるのは、慣れない雪による困難に出会うことにも増して、風景ががらっと変化することの新鮮さです。
周りから雪についての交通網の麻痺への懸念や、事故などの不安についてのオトナの声を聞きながら、雪というものが降り積もることへの密かな興奮を隠すことが常です。
夜にしんしんと降り積もるその音の恍惚や、深夜少しずつ積み重なったものが、一気に視覚的な迫力をもって立ち現れる早朝の景色。肌を刺す様な緊張感と清潔感を伴った冷たい空気。こういうものを新鮮に感じられるのはたまにだからこそでしょう。でもこの歳になっても飽きずにこられたのは、あまり出かけずにいられる作家業だからとも言えます。
たまに出かけざるを得ないときは棘を付けます。これはこれで快適。サクサク歩く醍醐味は枯葉と甲乙付けがたい。