銅版画の制作工程(下)

https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/10/19/%E9%8A%85%E7%89%88%E7%94%BB%E3%81%AE%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%B7%A5%E7%A8%8B%EF%BC%88%E4%B8%8B%EF%BC%89

 これで舞台裏はおしまい。ここからは表舞台スタートです。
 今回はヒマラヤ山麓の手漉き紙を使って仕上げました。新しく気に入った紙が、ちょうど良く作品にはまると嬉しい。こういう素材面での新鮮さというのは、作家本人にとって、フレッシュな感覚で制作を続ける上であるひとつのリズムを刻んでくれるようです。

銅版画の制作工程(中)

https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/10/12/%E9%8A%85%E7%89%88%E7%94%BB%E3%81%AE%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%B7%A5%E7%A8%8B%EF%BC%88%E4%B8%AD%EF%BC%89

 銅版画の制作工程第2回目。全3回です。削ったり腐食したり。同時代を生きている作家はこういうのをリアルタイムで公開したり、それについてあれこれ反応があったりするのが、物故作家には絶対に出来ないことですね。

9th リトルクリスマス~小さな版画展~

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 リトルクリスマス版画展(LC)始まりました!地図は作家の常田さん製作。ご覧のように全国に作品たちが旅立ってゆきます。
 今月スタートは、福島/鏡石、神奈川/相模原、愛知/豊橋、北海道/旭川、東京/麻布十番の5箇所です。
 既に予約が始まっています。ご予約はいつでもどの画廊でも出来ます。また、会期が遅い画廊でも、その展覧会に飾ることはその画廊が優先ですので、会期中はどの画廊へいつお越しいただいてもご覧いただけます。

 詳細は http://www.little-christmas.com まで。

 今年は9回目。10回やろう、という企画なので、来年で終わりです。
 過去の、LCについての齋藤の記事は、タイトルをクリックするとブログ内のタグから遡れます。企画趣旨、その思いなどを8年間綴ってます。リトルクリスマス版画展をクリックしてください。

銅版画のTP(試し刷り)

 MVWのブログの方に、銀座三越の際に出品した銅版画、「横ぎる雉」の制作過程を解説付きで1枚ずつアップしています。今回はTP(試し刷り)3まで。描きすぎて真っ黒になってしまった版を削り、再スタートするまでの流れです。
 予想通り簡単に、とはいかなかった分、愛着もある作品です。それは私の、銅版画との出会いから現在までの格闘とも通じるところがあります。不器用ですが、愛着あるところに着地したいと、いつも通りの足掻き。上手く予想通りいかない、という通常運転です。

https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/10/05/銅版画の制作工程上

上記、お手数ですが、工程上、という文字まで選択して検索してください。
もしくは、MVWのHPから、ブログ記事をクリック https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp

虎を放つ

 竹内栖鳳の展覧会を見に行った際に、屏風の虎が出品されていたので、その前に立ってスケッチしておきました。
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 絵そのものへの関心もあることはあるのですが、今回はこの「屏風の虎を放つ」という側面から制作に取り組みたいと思いました。一休さんは、虎を出してくれと将軍様に言い放ちましたが、彼ではなく絵師なら出せますよ、というとんち返しです。虎は日本、アジア圏では屏風や障子、衝立のモチーフとしてかなりメジャーで、様々な紋切り型の構成が、歴史を超えて散見出来ます。つまり人々の頭の中にイメージの虎が棲んでいるとも言えるのではないでしょうか。それぞれの文化的な視点や、影響などが見受けられ、とても興味深いです。しかし虎を屏風から出している人はいないようです。
 今年も、阪神梅田本店での展覧会の機会に恵まれたことをきっかけに、自分の「屏風の虎」シリーズを制作することにしました。月末にはある程度まとめてご覧いただけるように日々制作しています。
 
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 虎を野に放つ、は力を自由に発揮させるままにしておく意と、そこに危険を含むことを指しますが、果たしてどうなることやら・・・。

MVWのブログ開始

 まだ9月ですが、年末に広島福屋で開催しているMVWという紅白美術合戦に出品するにあたってのお報せです。
 展覧会まで、参加作家が日替わりで短い紹介記事を書いています。皆さん色んな背景で作家やってて面白いですね。また今年もよろしく、の方と、初めましての方。齋藤は3回目になりました。
 この企画は、絵の購入の有無に関わらず、来場者が1日1票好きな作家もしくは男女どちらかに投票出来るというもので、また見たい作家を自分の意思で選べるという一風変わった企画なのです。実は、自分が参加してから紅組に勝ったことないですが・・・3度目の正直、今年こそ。

 是非そちらのブログもご覧ください。

https://mvwtenji.wixsite.com/mvw-hp/single-post/2018/09/28/齋藤悠紀(さいとうゆうき)です%E3%80%82-1年ぶりの広島%E3%80%82

玄兎あそび

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 中秋の名月。
 に合わせたわけではないですが、この作品は来月から年末にかけて全国で開催されるリトルクリスマス版画展にて実物をご覧いただけます。ご興味あれば、是非お近くの画廊でお求めください。
 今年のテーマは「芽生え」。芽生えと、開花、種子を作り、また新たな土地へ・・・。植物のことでもあり、人の描くイメージにも共通のものがあると感じています。最近は古典のモチーフや絵画に自分の着想を織り交ぜた作品が作りたいと強く思うようになり、日々創意工夫です。
 
 今までの記事を振り返り、タグを付けています。記事をクリック→例えば「リトルクリスマス版画展」をクリック。で、これまでのそれに関連する記事を一度にまとめてご覧いただけます。

銅版画制作工程

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 竹ペンで描画。


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 その後防食剤(グランド)を塗り、乾いた後水で洗い流すと、竹ペンで描いた部分の銅が露出し、腐食出来るようになります。グランドを浮かすので、リフトグランドエッチングと言います。


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 更に点描などを針で描き足してから腐食。何度か繰り返して出来た版がこちら。

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 インクを詰めた後、版の、向かって右面にだけ薄い和紙(雁皮紙)を張り込んでからプレス機を通します。(雁皮刷りという技法の部分的な利用)


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 刷り上がり。


 完成作はまた後日。

自由自在な線

 ヨルク・シュマイサー展へ。
 まだご存命だった頃に、お会いした記憶が蘇ります。温かな眼差しをした物静かな方でした。学生時代に展覧会を拝見したくて1人で夜行バスに飛び乗って0泊2日。勿論自作を背負って。早く着きすぎて画廊が開いていなかったので、伏見稲荷へ寄り、わくわくしつつ会場へ。
 旅をして、その素描を制作の主軸に据える作者の豊かな好奇心が、時にストレートに、時に変化球で目の前に広がります。線そのものに高揚したり、癒されたり。高い技術に裏打ちされた繊細さ、豪放さ、行ったり来たりまさに自由自在。学生時代の拙作も丁寧に見てくれました。気に入った作品を1点入手。今より更にお金はありませんでしたが、刺激を忘れたくないという思いも加わって持ち帰りました。今見てもやはり後悔のない素晴らしい作品。自分、偉かった。
 版画に興味ある方は当然、線描が好きな方に是非おすすめの展覧会です。
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 町田国際版画美術館http://hanga-museum.jp

リトルクリスマス2018 「作者」と「作家」の違いによせて 

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 今年もリトルクリスマス版画展が始まります。準備は暑い時期から進めていて、9月に作家たちの新作が集まり、それをボランティアの作家が1点ずつ梱包してようやく全国の画廊へ旅立ちます。10回の企画なので、だいぶ終わりに近づいて来ました。
 毎年のことで、複数枚刷ることはすっかり慣れました。刷った作品をどうすれば色んな場所の方々へと届けられるか、という工夫をしながら月日が経ちます。
 作り手には色んなスタンスの人がいますが、私は、作品を作るだけの「作者」から、作って届けることで社会的な「作家」になりたい、という思いが常にあります。これは先輩作家にも時々言われたことで、心に残った受け売りを自分なりに考えたものです。
 「作者」は、自分とモチーフ、作品の三角形が問題の全てです。それはたっぷりと味わってきましたので、その良さは重々承知なのですが、「作家」には更にそこにもうひとつ視点が加わります。それが他者です。「作者」の意識のみの人には、実は展覧会がそれほど大きな意味を持ちません。というのも、飾る前から、ほぼ自分の仕事は終わったような感覚で心が満たされ、一息ついてしまうのです。そういう日々への懐かしさは感じつつも、やはり心がそれでは満たされなくなったというのが本当のところです。勿論経済上の現実もあるのですが、それは同時進行の課題であり、それよりも実際は、納得したいという部分の方が行動に駆り立てているように思います。
 16歳の頃に美術部で制作した作品を、部活と関係のない場所で飾ってみたい、どのような反応があるのか知ってその中で作品をもっとたくましいものにしたい、という思いを抱いてからというもの、方法は変われど、根本は変わりません。
 さて、そんな思いで発送した作品、各地で出会いがあると幸いです。行ってらっしゃい。
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薫風ポートレイト撮影

 秋に、大阪、阪神百貨店で開催する薫風展 http://kunpuinfo.wixsite.com/kunpu-homepage
そのポートレイト撮影してきました。
 今年はいつもと一味変えてちょっと雰囲気のあるスタジオで。アンティーク調の元カフェです。
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 それぞれ気に入った背景で撮影。集合もワイシャツからジャケットへ。
 作品も進化したものを見せたい!そこが一番大切です。
 関西方面にお越しの際はよろしくお願いします。また近くなったらお知らせします。

埼玉で飲む

 「埼玉ゆかりの作家たち」展覧会初日は、まず柳沢画廊での作品を見た後、作家たちとコレクターさん、柳沢さんと、作品を飾っているうりんぼうへ向かいオープニングという名の飲み会。折しも雷を伴った大雨。齋藤はその土砂降りをもろに浴びて身体が冷えたので、埼玉の日本酒直実の熱燗。締めに卵かけごはんを注文した際に、ちらちらこちらを見ている人。なんとそのお米を作っている方でした。まずかったらお金はいらねぇよ、と勝手におっしゃってましたが美味しかった。そして花札シリーズをご覧になっていました。
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 帰宅したら埼玉の大雨ニュースになってました。聞いたことのない音色の雷を一度耳にしました。

埼玉ゆかりの作家たち

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 柳沢画廊企画で、「うりんぼう」との同時開催展をします。銅版画を出品します。うりんぼうは浦和にいく時に時々行く飲み屋で、元々柳沢画廊で個展をしていた際に、女将さんに見に来ていただいてからのお付き合いです。はきはきと、大抵お一人で切り盛りしています。店構えが独特、とても狭い出入り口から鍾乳洞へ入っていくかのような雰囲気ですが、座敷に到着するとほっと落ち着くような昔ながらの雰囲気のお店です。埼玉県の地酒にこだわっていて食材も埼玉のもの中心。
 大勢で行く感じではありませんが、静かに日本酒かな、という夜には是非。

猛暑のパネル作り

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 雨乞いに応えるような猛暑の土砂降り。災害にならないいい塩梅くらいに降ってくれるとありがたい。雨が滴るのを眺め暑気払い。台風で秋風が吹いたかと思った矢先にまた暑さが帰ってきました。
 今日は秋から年末にかけて制作する予定の、ペン画のパネル作り。
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 パネルは、ある程度事前にまとめて作っておきます。アク止めの糊で薄い和紙を貼って、板のアクが万が一にも作品に染みないようにしています。乾燥後、端っこをカットします。その下地を作った状態で、更に上に紙を貼り、その紙に雁皮を貼るという工程を経て、ようやく描画の準備完了。そこからペンを使用します。このパネルの段階も「絵を描く」ということの大切な一部です。
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 ジュズダマいただきました。薄い茶系の色は一粒として同じ色がない。
 季節感あります、ありがとうございます。

2羽の烏の話

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 怠け者が後になって罰を受けたり、苦労したり、死んでしまったりと泣きを見る昔話はよくありますが、怠け者がうまくいく話もあります。
 皆んながせっせと働く中、ごろごろしてばかりの男。ある日も木の下で寝転んでいたところ、上の方から2羽の烏が話しているのを耳にします。(非日常へと導く役割は鳥類が多いですね。)それをきっかけにして、男は奮起し、大金持ちになって幸せに暮らした、  とさ。
 この話を聞いたときに、作家にもあてはまるなと思いました。男は、他の人から見れば働かず、好きな時にごろごろしている怠け者に映ることでしょう。だからこそ、烏の話が聞けたのではないでしょうか。「烏の話を耳にして~・・・」などとさらっと語られるので、つい読み飛ばしそうになるのですが、通常の状態では、烏の話し声は、人間には聞き取れません。
 「2羽の烏の話し声」とは一体何でしょう。そして怠け者以外の人には、何故烏の声が届かないのでしょう。男が幸運だっただけなのでしょうか。
 もうひとつ大事なのは、その声を聞いた直後、男はついに自ら動くというところです。耳にした何かを現実と擦り合わせる工夫がそこには確かにあります。
 ・・・昔話の怠け者からは学ぶことが案外多いかもしれません。
 

 障子には影絵、開ければ猫。あけたてしながら毎日制作。
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銅版画と植物の間で

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 最近ほっておいたクワズイモがふと見ると種をつけていました。花はよく見かけるけれど種まで見れらるのは珍しい。植物が身近にあると、お~毎日生きてるなぁと感じ、その成長に元気をもらいます。
 アトリエではここ最近はずっと銅版画を数点制作しています。
 構図は先に決めてあったので迷わず、版も順調に、そして刷りで長考・・・。未熟なので、なかなか全ての工程が淀みなく、とはいきませんね。
 刷りに入って何十回と同じ所作を繰り返す間に、迷ったり飽きたりしない為に、自分が納得出来る版の作りと、刷り方の決定を迫られます。厳しさが、結果的には気持ちの余裕を生むことが多いので、新しい工夫や挑戦の為にも、目の前の版や刷り上がりの状態に妥協は厳禁。
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 障子に映る蔓植物の影に、熱くなった頭をなだめられ、また版に向かいます。

真夏に思うクリスマス

 リトルクリスマス版画展2018の作品を制作中です。今年のテーマは「芽生え」。去年までの作品を並べ、振り返ります。
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 第1回めからがっつり絡んでいるので、もう8年やり続けてきました。自分なりにあれこれと創意工夫し、前年度までにやってきたことの繰り返しにならないよう、何かしらの挑戦を毎年してきたつもりです。今年は銀座三越の個展で取り組んだテーマを延長し、銅版画にフィードバックしてみようと構想中です。
 お楽しみに!

夜の木

 図書カードが溜まったので、以前から気になっていた本を購入。
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 絵本です。色んな神話の木が、詩的なテキストと共に図鑑のように、手刷りされています。
 気になっていた内容というのは、その本の制作工程です。先輩の作家に教えられて、動画で観たのですが、インド人らしき方々が開放的な工房で、机や床でスクリーンプリントをして、裁断して本に仕立てていくのがとてもラフな様子だったのです。大学で教えられてきたものからイメージするそれとはまるで別世界のようで、高揚しました。勿論確かな技術があって、何段階も超えたレベルのことだと想像しますが、それが自分にはとても自由で楽しげに映ったのです。
 技術を尖らせていって、寸分の狂いも許さない、手技とは思えないような域に達する。それはそれで素晴らしく背筋が凍るような緊張感がありますが、それとはまた違った方向の豊かさ。版画を道具として扱って何かを作るという、「人」と「版画」、あるいは「刷る」という行為そのものの喜びのようなものを感じました。そういう逞しい豊かさを、この本を見るたびに思い出そう。こういうものは持っていないと満足出来ません。
 裏にはきちんと限定番号が。版画ですね~
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 版画というものを、手指の一部のように扱いながら、自分が思い描いたイメージを実現する行為と不可分のものとして存在させる。イメージも素材も突っ走り過ぎないちょうどいい共存。この余裕、見習いたい。

個展「見るなの座敷」終えて

 銀座三越7階ギャラリーにて開催した個展、「見るなの座敷」の会期が終了しました。まだ残った雑務をしつつ、新たな制作も始めています。暑すぎて日中、いや日が沈んでからも、エアコンのない部屋での制作は無理があります。猛暑も猛暑。
 個展はと言えば、とても手応えのあるものでした。自分以外の人が自分を作家にしていてくれるのだと感じる結果でもありました。今年に入ってからこの個展の為に進めてきた新作のペン画とガラス絵は、ほとんど手元には帰ってこない、というありがたい事態に。有難いという字の如く、百貨店で展覧会をするようになってから8年間というもの、ここまで恵まれた結果になったのは初めてです。
 百貨店という厳しい現場に、20代から立たせてもらい肌で感じてきたことが、ようやく鈍い自分でも作品に反映され、展覧会として現実に形にできるようになってきたと思うと、そのことが、本当に嬉しいです。
 まだまだ拙いことは多く、やらないといけない具体的なことは山積みですが、それはそれとして。今回の個展に来場してくれた方々、作品をご購入していただいた方々にここで御礼申し上げます。

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